サイトの移動について

ルンドベック・ジャパン(www.lundbeck.co.jp)以外のサイトへ移動します。よろしければ、下記リンク先をクリックしてください。

移動する

キャンセル

Lily Chan

私はリリーです

診断から10年間にわたり、リリーは自分の病気を無視しようとしました。しかし、双極性障害の躁(そう)状態と極度のうつ状態の繰り返しは、耐え難い苦痛でした。リリーは、必要な治療と支援を受けるようになり、精神疾患にまつわる偏見と闘うことにも取り組みました

リリー・チャン

香港

54歳

診断

双極性障害

職業

リリーは、化学工学の学位を取得した後、10年間、グローバル事業開発に携わる。現在は、総務マネージャー兼人事担当者としてルンドベックに勤務

 

趣味

ガーデニング

料理/パン作り

読書

旅行

音楽鑑賞 

リリー・チャンは、自分にはスーパーパワーがあると思っていました。無限のエネルギーがあるように、わずか数時間の睡眠で、何日でも、何週間でも活動することができたのです。他の人が眠っている間に、多国籍企業の化学エンジニアとして、海も時差も超えて協力しながら仕事をしていました。期待の星だったリリーは、自分には限りない想像力と生産力があると感じていました。「最初は誇りに思っていました。まったくコントロールできず、スピードを落とすことができない自分に気づくまでは、これが強みだと思っていたのです。そのうち、すべてのことがあまりの速度で進み、脳が暴走するようになりました。そして疲弊し、体調を崩したのです。」と振り返ります。

 

気分が落ち込むダウンサイクルが来ると、リリーは引きこもり、深い悲しみに沈みました。この移行は徐々には起こりません。来る時には、突然すごい勢いで重い幕が下りたようでした。「私は隠れて、心を閉ざし、起きて歯を磨くことも嫌でした」と思い起こします。

 

リリーは、20代後半に極度の疲労で入院し、双極性障害と診断されました。双極性障害は、気分が高揚する期間と落ち込む期間のある気分障害です¹。気分が高揚する期間は躁病(軽躁病)エピソードとして、気分が落ち込む期間は抑うつエピソードとして知られています¹。

 

この時、リリーは、気分変動の説明を受け、治療計画も立てられました。しかし、この診断が不安を取り除くことはなく、彼女は診断を否定しました。リリーは、精神疾患があることを打ち明けた場合に同僚や友人から偏見を持たれることを恐れました。そして自分自身に対して偏見を持ったのです。あらゆる素晴らしいアイディアや失敗を、病気によるものと人に思われたくありませんでした。そのため、病気を否定し、隠しました。リリーは、たまにしか服薬せず、調子が良い時はまったく服薬しませんでした。これが10年間にわたる躁病エピソード+重度の抑うつエピソード、一連の入院という激しい展開につながりました。キャリアの早い段階での成功という高みから、無職、離婚、生活苦という現実に転落したのです。

 

最終的に、治療、家族の支援、ピアサポートを紹介してもらうことによって、病気のコントロールができるようになり、自分を取り戻しました。「隠していたら、私の人生が困難になるだけだと気づいたのです」と言います。

 

今では、リリーは鏡に映るリリーという自分を受け入れることができます。双極性障害と定義される人でも、病気から逃げている誰かでもありません。キャリアで成功し、家族に愛され、心の健康に問題のある人々の支援に尽力し、双極性障害から回復した、54歳のありのままのリリーです。「自分を受け入れることで、人にも自分を受け入れてもらいやすくなります。ありのままの私を受け入れてください。私はリリーです。」

希望のメッセンジャー

リリーは、シカゴで入院したときに最初に遭遇したピアサポートが、回復の鍵だったと話します。ピアサポーターは、病気を実際に経験し、病気に精通しています。ピアサポーターが自分の個人的なストーリーを話すことで、患者さんは恥ずかしさや回復の可能性を否定する気持ちから抜け出しやすくなります。リリーは、自信を取り戻し、回復に乗り出す上で、ピアサポートが助けになったことを確信しています。「私の回復の70パーセントは薬物治療によるもので、残りの30パーセントは自分の病気を受け入れるようになったためだと思います」と言います。

 

最終的に、リリー自身がピアサポーターとして、香港病院当局に雇用され、キャッスルピーク病院の地域精神科医療サービス部門初のピアサポーターになりました。自身の双極性障害の経験を伝えることで「希望のメッセンジャー」になり、他の重篤な精神疾患の人々にあなたは一人じゃないと安心してもらいたいと願っていました。暗く、恐ろしく、孤独なときがあったかもしれませんが、サポートと治療があれば、回復が可能なのです。

 

時がたつにつれて、リリーは自身のストーリーをより多くの人々に伝えるようになり、メディアや教育イベントで話をしました。2017年には、香港のメンタルヘルスに関する諮問委員会委員に任命されました。この委員会は、メンタルヘルスに関する方針について政府に助言を与えるために設置されたものです。偏見を払拭するキャンペーンに携わるようになり、その後、ルンドベックに採用され、現在、総務マネージャー兼人事担当者としてフルタイムで勤務しています。リリーは、自身の会社員としての生活への復帰と双極性障害についての率直さがきっかけとなり、他の人々が職場で精神疾患についてもっとオープンに話すようになることを願っています。

 

「精神疾患のある人が均等な機会を与えられれば、道を見出せます。そのためには、社会が均等な機会を与えなければなりません。双極性障害を抱えて生きることが難しいのではありません。自分が双極性障害であるために受け入れられていないことが最も難しい問題なのです。」とリリーは言います。

76%

の患者さんは、21歳以前に初発症状が発症しています³。

4,600万

の世界の人々が双極性障害を抱えて生きています²。

回復を視野に入れて

リリーは、双極性障害の症状管理のため、毎日の服薬に頼り、障害が生涯にわたる病気であることを理解していますが、自身の双極性障害からの回復を口にします。リリーにとって、回復とは、自分が最善の人生を送ることができるように自分の病気を受け入れて管理することを意味します。

 

 5年ほど前、リリーは再発し、薬物治療を調整するため、入院が必要になりました。リリーは、これが疾患の経過であると理解していたため、入院期間中には、他の患者さんが再発しても大丈夫だと理解できるよう努めました。「常に理想的な状態ではなく、何らかの調整が必要なことがあるかもしれません。でも、それはあなたが失敗したということではありません。これに対応して、調整し、受け入れればよいのです。あなたが変わったということではありません」とリリーは、患者さんたちに話しました。

「精神疾患のある人が均等な機会を与えられれば、道を見出せます。そのためには、社会が均等な機会を与えなければなりません。」

リリー・チャン

双極性障害の現状

双極性障害は、気分が高揚する期間と落ち込む期間のある気分障害です¹

気分が高揚する期間は躁病(軽躁病)エピソードとして、気分が落ち込む期間は抑うつエピソードとして知られています

  1. American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. 5th ed. Arlington, VA: American Psychiatric Association; 2013.
  2. GBD 2017 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators. Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 354 diseases and injuries for 195 countries and territories, 1990–2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet. 2018;392(10159):1789–1858.
  3. Perlis RH, Dennehy EB, Miklowitz DJ, Delbello MP, Ostacher M, Calabrese JR, et al. Retrospective age at onset of bipolar disorder and outcome during two-year follow-up: results from the STEP-BD study. Bipolar Disord. 2009;11(4):391–400.
  4. Pompili M, Gonda X, Serafini G, Innamorati M, Sher L, Amore M, et al. Epidemiology of suicide in bipolar disorders: a systematic review of the literature. Bipolar Disord. 2013;15(5):457–490.
  5. Alonso J, Petukhova M, Vilagut G, Chatterji S, Heeringa S, Üstün TB, et al. Days out of role due to common physical and mental conditions: results from the WHO World Mental Health surveys. Mol Psychiatry. 2011;16(12):1234–1246.
  6. World Health Organization. World Report on Disability 2011. Available from: http://www.who.int/disabilities/world_report/2011/report.pdf [accessed 17 September 2019].