パーキンソン病

パーキンソン病は、神経伝達物質であるドパミンを産生する神経細胞が徐々に失われ、運動症状や非運動症状を引き起こすことを特徴とする進行性疾患です。

概要

パーキンソン病は長期にわたる進行性の神経変性疾患で、60歳以上の人に最も多くみられます1。パーキンソン病の患者さんは体の動きをコントロールするのが難しく、病状の進行とともに症状が悪化します。最終的には、日常生活を送ることが難しくなります。

パーキンソン病の症状は、運動制御ならびに感情、睡眠、思考に影響する領域の脳神経細胞が失われることによるものです。神経細胞が失われる正確な要因は解明されていませんが、遺伝的要因、環境要因および老化要因の組み合わせによって生じると考えられています2

 

症状

パーキンソン病は進行性疾患であり、時間が経つにつれて徐々に症状が悪化し、新たな症状が現われたりします。しかし、パーキンソン病は末期の疾患ではなく、診断されてからの余命は約15~25年とされる、長期の経過をたどる慢性疾患です3

パーキンソン病の症状は、運動症状、非運動症状および運動合併症に分類されます。

運動症状-パーキンソン病の代表的な症状、いわゆる「運動(運動関連)」症状には、振戦、動作が遅くなる、筋肉のこわばり、姿勢を保てなくなるなどがあります。

非運動症状-パーキンソン病の進行に関わらず起こり、患者さんのQOLに大きな影響を及ぼします。例えば、起立性低血圧、気分障害、睡眠障害、感覚障害、嗅覚障害、便秘、認知障害(記憶障害、思考力の減退)、混乱および認知症などがあげられます4,5

 

運動合併症-数年間の治療後に運動合併症が現れ始めることがあります6。これには治療により症状が良好に治療されている時間と、治療されているにも関わらず不良な時間を交互に繰り返す「日内変動」も含まれます。

 

これらの症状のすべては、疾患による負担をかなり増大させます。

疫学と負担

パーキンソン病は、最もよくみられる神経(神経細胞)変性疾患のひとつです。世界中で約600万人の男女が罹患しています7。米国におけるパーキンソン病の有病率は、2040年までに倍増するといわれています(2010年比) 8

パーキンソン病は一般的に、50歳代後半から60歳代前半に発症しますが1、まれに40歳までに発症することもあります9。60歳以上の1%がパーキンソン病を発症しています10

パーキンソン病は年齢とともに発症するリスクが高くなるため、高齢化が進んでいる現在では、パーキンソン病の総患者数も増加していることを意味しています11

 

診断と治療

患者さんまたはご家族がパーキンソン病ではないかと思われる場合、医師の診察を受けてください。パーキンソン病は病歴、診察および薬に対する反応により診断されますが、確定診断として使用できる生化学的検査、画像検査または遺伝子検査は現在のところ存在しません12,13。その他に、パーキンソン病の症状および重症度を特定するために用いられる質問票が数多くあります。

パーキンソン病を根治する治療はありませんが、研究が続けられています。現在は症状に対する治療を受けることが可能です。パーキンソン病の治療では進行を止めることはできませんが、一時的に症状をコントロールして緩和し、パーキンソン病患者さんとその介護者の方のQOLを改善することができます。

パーキンソン病の治療では通常、薬物治療が行われますが、場合によっては外科的手術を行うこともあります。これに加えて、運動、食事、代替療法、精神的支援や周囲のサポートなどすべてが重要な役割を果たします。人生の新たな局面としてパーキンソン病を理解すること、そして新しい目標や課題を受け入れるようにすることは、実際のパーキンソン病の管理そのものと同じくらい重要なことです。

参考文献

  1. Weintraub D, Comella CL, Horn S. Parkinson's disease-Part 1: Pathophysiology, symptoms, burden, diagnosis, and assessment. Am J Manag Care. 2008; 14(2 Suppl):S40-8.
  2. Schapira AHV The management of Parkinson’s disease - what is new? Eur J Neurol 2011;18(Suppl 1):1-2.
  3. Poewe W, Mahlknecht The clinical progression of Parkinson's disease. Park and Rel Dis 2009;15(Suppl 4):S28-S32.
  4. Chaudhuri KR, Ondo W. Handbook of Movement Disorders. London: Current Medicine Group, 2009.
  5. Goldman JG, Postuma R. Premotor and nonmotor features of Parkinson’s disease. Curr Opin Neurol 2014; 27 (4): 434441.
  6. Kalia LV, Lang AE. Parkinson’s disease. Lancet 2015; 386 (9996): 896–912.
  7. The Global Burden of Disease Study 2016, Lancet.com. 2017. Available at https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(17)32154-2/fulltext. Accessed May 2018.
  8. Kowal SL, Dall TM, Chakrabarti R, et al. The current and projected economic burden of Parkinson’s disease in the United States. Mov Disord 2013; 28 (3): 311_318
  9. de Lau LML, Breteler Monique MB. Epidemiology of Parkinson's disease. Lancet Neurology, 2006;5(6):525-535.
  10.  Tysnes & Storstein. Epidemiology of Parkinson's disease. J Neural Transm 2017;124:901905.
  11. Dorsey ER, Constantinescu R, Thompson JP, Biglan KM, Holloway RG, Kieburtz K, Marshall FJ, Ravina BM, Schifitto G, Siderowf A, Tanner CM. Projected number of people with Parkinson disease in the most populous nations, 2005 through 2030 Neurology 2007;68(5):384-386.
  12. Jankovic J. Parkinson’s disease: clinical features and diagnosis. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2008; 79: 368–376.
  13. Williams DR, Litvan I. Parkinsonian syndromes. Continuum (Minneap Minn) 2013; 19 (5): 1189–1212.
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